前書き
悩んで動けない――そんな時こそ、偉人たちの「行動の名言」に耳を傾けてみませんか?
私たちは人生の中で何度も「どうするべきか分からない」「怖くて踏み出せない」と立ち止まる瞬間を迎えます。でも、そんな時、歴史を動かした人々はどうしていたのか? 実は、多くの偉人が“思考”より“行動”にこそ答えがあると語っています。
この記事では、「行動の名言」に関する珠玉の言葉を厳選して紹介。
哲学者から起業家、公民権運動家から芸術家まで――ジャンルを超えた偉人たちのエピソードとともに、「なぜ行動することが力になるのか」を深掘りします。
読み終えたとき、あなたはきっと「動かずにはいられない」自分に気づくはずです。
偉人たちの行動の名言7選

「行動は恐怖を消し去る。」
― デール・カーネギー(自己啓発作家・ビジネス教育者)
カーネギーは、世界恐慌後のアメリカで、失業と不安に苦しむ人々を相手に「話し方講座」を始めました。
彼自身も貧困の中で育ち、劇場やセールスマンとしてのキャリアに何度も失敗しています。
それでも彼は、舞台恐怖や人前で話すことの「恐れ」に悩む人々を見て気づいたのです。
「準備や思考だけでは恐怖は消えない。話す“行動”そのものが恐怖を減らす」と。
彼のセミナーでは、どんなに内気な人も「立って声を出す」ことを強制されました。
その結果、数万人以上の人生が変わったのです。
行動経済学的にはこれは「曝露療法」に近い。
恐怖は“避ける”ことで強まり、“向き合う”ことで和らぐ。
だからこそ「動くこと」が、恐れを越えるための唯一の鍵なんです。
原文:“Inaction breeds doubt and fear. Action breeds confidence and courage.”
出典:『道は開ける(How to Stop Worrying and Start Living)』
発表年:1948年
備考:この名言は実際には「行動は自信と勇気を生む」という趣旨の一節に含まれます。

「正しいことをしているなら、恐れてはならない。」
― ローザ・パークス(公民権運動家)
1955年、アメリカ南部。アラバマ州モンゴメリーのバスで、黒人女性だったローザは、白人に席を譲ることを拒否し、逮捕されました。
これは偶然の事件ではありません。彼女は当時、長年にわたって差別撤廃運動に関わっており、「正しいことなら、どんな代償を払っても動く」という信念を持っていました。
彼女の行動は、「モンゴメリー・バス・ボイコット運動」という市民の大規模な抵抗運動につながり、やがてキング牧師の活動にも火をつけます。
「ただ我慢する」のではなく、「行動することこそが正義の証明になる」。この言葉は、権利を勝ち取るために“まず動いた”人間の、静かな叫びです。
原文:“You must never be fearful about what you are doing when it is right.”
出典:ローザ・パークス著『Quiet Strength:The Faith, the Hope, and the Heart of a Woman Who Changed a Nation』
(邦題なし、日本未訳。キリスト教系出版社Zondervanより刊行)
発表年:1994年備考:この言葉は、ローザ・パークスが自らの信仰と市民的不服従の意義について語った自伝的回顧録『Quiet Strength』の中に収録されている。文脈としては、1955年のモンゴメリー・バス・ボイコットにおける自身の決断と信念を振り返る中で語られたものであり、行動に伴う恐れを信念で乗り越える姿勢を表している。文面は非常に明瞭かつ率直で、今日では彼女を象徴する名言の一つとして広く引用されている。

「無関心に対する唯一の処方箋は行動である。」
― エリ・ヴィーゼル(作家・ノーベル平和賞受賞者)
アウシュビッツから奇跡的に生還したヴィーゼルは、戦後長く沈黙していました。しかし、沈黙は無関心を助長するという事実に気づき、筆を執ります。
世界中にホロコースト(第二次世界大戦中にナチス・ドイツが約600万人のユダヤ人を組織的に迫害・虐殺した歴史的大量虐殺)の真実を訴えるため、彼は記憶を物語にし、教壇に立ち、講演を重ねました。
「誰かが行動しない限り、歴史は繰り返される」。
その思いから出たこの言葉は、「知っているだけでは足りない、動かなければならない」という痛切な戒めです。
現代の社会心理学でも、「傍観者効果」(緊急事態や不正を目撃しても、他に人がいることで「誰かがやるだろう」と考え、結果的に誰も行動しない心理的傾向)は深刻な問題です。彼の言葉は、それを打ち破る唯一の武器が“行動”だと教えてくれています。
原文:“The opposite of love is not hate, it’s indifference. The opposite of art is not ugliness, it’s indifference. […] And the opposite of life is not death, it’s indifference.”
また、
“The only thing necessary for the triumph of evil is for good men to do nothing.” という言葉に近い主旨も。
出典:ノーベル平和賞受賞記念講演(1986年)
発表年:1986年
備考:「無関心こそが最大の敵であり、行動こそが希望である」との趣旨のスピーチから意訳されたもの。

「何かをすることによってのみ、何かを学べるのだ。」
― アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)
この言葉は、古代ギリシャの学問のあり方そのものを示しています。アリストテレスは、机の上で考えるだけではなく、実際に歩き、観察し、手を動かすことによって知識が身につくと考えていました。
例えば彼は、植物学・動物学・政治学・倫理学など、多岐にわたる分野を実地で観察しながら研究しました。まさに、「実験しなければ哲学は完成しない」という姿勢です。
現代でも、「行動による学習=体験学習」こそが記憶の定着に最も有効だという研究があります。知識は座学ではなく、現場でこそ本物になる。
この言葉は、2500年以上前にして、今なお教育現場で引用され続けるほど、普遍的な真実を突いています。
原文:“For the things we have to learn before we can do them, we learn by doing them.”
出典:『ニコマコス倫理学(Nicomachean Ethics)』第2巻第1章
発表年:紀元前4世紀
備考:原典は古代ギリシア語。上記は英訳された代表的な表現。

「行動は優れた計画に勝ることがある。」
― パトリック・ディクソン(未来学者)
パトリックは、医師としての経験と科学的知識を背景に、企業や政府に未来戦略を助言してきた人物。
彼は1990年代初頭から、「デジタル革命」「AI社会」などを予見して警鐘を鳴らしてきました。
しかし、彼が説いたのは“予測するだけでは不十分”ということ。
どんなに未来を読んでも、「今、行動しなければ意味がない」と。
私たちはしばしば「もっと良い方法があるのでは」と計画を練ることに時間を費やしすぎます。
行動経済学ではこれを「最適化の呪い」と呼び、完璧を求めるがゆえに何も始められない心理とされます。
ディクソンの言葉は、「完璧な準備」より、「今すぐの一歩」の方が現実を変える力があることを示しています。
原文:“Action always beats intention.”
出典:『Futurewise(フューチャーワイズ)』などで類似主張が見られる
発表年:初版1998年(Futurewise)
備考:近年のビジネス書や講演で繰り返し述べられているが、正確な文章は著作により異なる。彼のメッセージの要約的表現としてよく引用される。

「行動はすべての成功の基本的鍵である。」
― パブロ・ピカソ(画家・芸術家)
ピカソは、実は非常に多作な画家です。
彼は一生のうちに約15万点以上の作品を残しました。これは絵画だけでなく、彫刻、陶芸、デザイン、詩まで含みます。
彼のスタイルは次々と変化しましたが、その背後には常に「とにかく手を動かし続ける」という行動力がありました。
「ひらめき」を待つのではなく、「手を動かしていれば、ひらめきはやってくる」。
これはまさに、行動によってクリエイティビティが生まれるという行動科学の実証にも一致します。
創造とは、考えて生まれるものではなく、「手を動かす」中から生まれるものなのです。
原文:“Action is the foundational key to all success.”
出典:Françoise Gilot and Carlton Lake, Life with Picasso(1964年)
備考:この言葉は、ピカソの長年のパートナーであり画家でもあるフランソワーズ・ジローが、彼との共同生活を記録した回顧録の中で紹介されています。

「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である。」
― 本田宗一郎(技術者・本田技研創業者)
戦後日本の瓦礫の中、本田宗一郎は焼け残った工場の部品をかき集め、自転車に小さなエンジンを取り付けて走らせました。
これが、のちのホンダの原型です。
本田は技術屋であり、現場主義者。徹底して“試す”ことに価値を置きました。
一方で、単なる「行動力のある人」ではありません。
「人の生活を豊かにするために」という明確な理念を軸にしていたからこそ、その行動はブレずに社会に影響を与えたのです。
彼のこの言葉は、まさに理念と行動の統合が真の成果を生むというビジネス実践の極意です。
計画偏重や口だけの理想論を厳しく戒めています。
原文:「理念なき行動は凶器であり、行動なき理念は無価値である。」
出典:1992年に制定された「ホンダフィロソフィー」の序文にて、本田宗一郎の言葉として紹介されたもの。初出は1956年発行のホンダ社報第23号に掲載された理念に基づくとされる。
発表年:1992年(ホンダフィロソフィー制定年。ただし発言自体は1950年代とされる)
備考:この言葉はホンダの企業理念を象徴する名言として知られているが、正確な原稿や発言録は現存していない。ホンダ社内の伝承・社報等を通じて広まったものであり、本田宗一郎の精神を表す象徴的な表現として受け継がれている。
まとめ
「行動の名言」が教えてくれるのは、成功の秘訣でも、美徳でもありません。それは“今を変える力”そのものです。
不安や恐怖を打ち破ったのも、時代を切り開いたのも、誰かの勇気を奮い立たせたのも――すべて、最初の「ひとつの行動」から始まっています。
考えすぎて止まるより、未完成でも踏み出す方が人生は動きます。
この名言集は、その確かな証拠です。
迷ったときは、ぜひまたこの言葉たちに立ち返ってください。
悩んだら、動け。その一歩が、未来を変える第一歩になります。