“誰かのために”を貫いた。偉人たちの正義の名言8選

地球儀の地球のようなものがパズルで構成されており、一つの赤いピースが外れている様子を描いたイラスト

本記事では、歴史上の偉人が残した名言をもとに、その背景にある思想や価値観を読み解いていきます。
※掲載内容は健康・心理・経済に関する助言や診断を目的とするものではありません。

目次

前書き

誰かの痛みに気づき、声を上げた人がいる――。

人は時に、自分の損得を超えて「誰かのため」に行動します。その原動力となるのが、正義という価値観です。
しかし、正義とは単なる正しさではありません。それは時に、社会の常識に逆らい、孤独や苦難を引き受ける覚悟すら伴うもの。

この記事では、歴史に名を刻んだ8人の偉人たちが残した「正義の名言」を厳選して紹介します。
彼らの言葉は、今を生きる私たちに「本当に大切なことは何か」を問いかけてくれるはずです。
行動する勇気をくれる、正義に関する名言の数々を、ぜひあなたの人生の糧にしてください。

偉人たちの正義の名言8選

地球儀の地球のようなものがパズルで構成されており、一つの赤いピースが外れている様子を描いたイラスト

「不正義がどこかで起これば、それはすべての正義に対する脅威である。」
― マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(牧師・公民権運動指導者)

1963年、アラバマ州バーミングハムの刑務所からキング牧師が書いた手紙には、この言葉の原型があります。彼は非暴力での抗議活動を行ったとして逮捕され、同じく牧師である白人の知識人たちから「急ぎすぎだ」と批判されていました。

しかし、キングは譲りませんでした。
「アラバマで黒人が差別されることは、アメリカ全体の正義を損なうことだ」と。

たとえ自分が安全な場所にいても、どこかで差別や暴力が続いているなら、それは他人事ではない。
キングは、「どこかの街で黒人が殴られている限り、それを黙認することは自分たちの正義への裏切りだ」と訴えたのです。

この姿勢が、彼の「人類全体の正義」という信念を支えていました。

原文:“Injustice anywhere is a threat to justice everywhere.”
出典:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア『バーミンガム刑務所からの手紙』(Letter from Birmingham Jail)
発表年:1963年
備考:キング牧師がアラバマ州バーミンガムの刑務所から書いた公開書簡。非暴力的抗議運動の正当性を力強く擁護した文書。

古代都市で市民が鍛冶や農業、執筆などの仕事をしている様子を描いたイラスト

「正義とは、自分の仕事を行い、他人のことに干渉しないことである。」
― プラトン(哲学者・古代ギリシャ)

この言葉は、古代ギリシャの哲学者プラトンが、国家と正義について論じた対話篇『国家』の中で提示したものです。

当時のアテナイはペロポネス戦争後の混乱の中にあり、政治腐敗や市民の堕落が問題視されていました。

※ペロポネス戦争…紀元前431年から紀元前404年にかけて、アテナイを中心とするデロス同盟と、スパルタを中心とするペロポネソス同盟の間で繰り広げられたギリシャ世界の内戦です。長期にわたる戦争は、アテナイの経済・社会を疲弊させ、民主政の機能不全や倫理観の崩壊を招きました。

こうした背景の中、プラトンは「正義とは何か」を徹底的に問い、行きついたのがこの定義です。

「職業や役割を正しく果たし、他人の分野に不当に介入しないこと」――これは単なる個人の倫理ではなく、国家運営の根本原理として語られました。

つまりプラトンにとって正義とは、秩序と調和。個人も国家も、互いの役割を尊重してこそ成り立つ。現代でいう「分業と専門性の尊重」の哲学的ルーツでもあるのです。

原文:“Justice means minding your own business and not meddling with other men’s concerns.”
出典:プラトン『国家』(原題:Politeia)第4巻(Book IV)
発表年:紀元前4世紀頃
備考:原義は「各人がその本分を果たすこと」が正義という考え。

王座に座る暴君のイラストと「暴政が法になると、反乱は義務となる」というメッセージ

「正義がなければ、国家は大きな盗賊団にすぎない。」
― アウグスティヌス(キリスト教神学者・司教)

この鋭い批判は、ローマ帝国末期の混乱期に生きたキリスト教神学者・アウグスティヌスのものです。

当時のローマは見かけ上は秩序を保っていても、内部では支配層の腐敗が進み、民衆からの搾取が続いていました。
アウグスティヌスはその実態を見抜いていました。「国家とは何か」と問われたとき、彼は「正義を欠く国家は、力と略奪のシステムにすぎない」と喝破します。

彼にとって「正義」は神の秩序にかなうものであり、それがなければ法や権力はただの暴力の道具になる。
まさに、宗教者としての視点と市民としての実感が結びついた、痛烈な告発の言葉だったのです。

原文:“Without justice, what are kingdoms but great bands of robbers?”
出典:アウグスティヌス『神の国』(原題:De Civitate Dei)第4巻・第4章
発表年:5世紀(具体的には412年から426年にかけて執筆)
備考:ローマ帝国の衰退とキリスト教世界秩序の思想的基盤を示した代表的著作。

焦土の中で子どもが焦土で片翼を失った鳥と向き合い、小さな苗を差し出す幻想的なイラスト

「力なき正義は無力であり、正義なき力は暴虐である。」
― ブレーズ・パスカル(数学者・哲学者)

17世紀フランス。絶対王政の時代、宗教と政治の権力が結びつき、自由な言論や思想はしばしば抑圧されていました。

科学者でありながら宗教哲学にも傾倒していたパスカルは、知識人としてこの時代に鋭く言葉を放ちました。

「正義だけでは弱く、力だけでは危険だ」

これは、政治的・軍事的な「力」に対して「倫理」が必要だと訴えるものであり、力と道徳のバランスが崩れたときに国家は腐敗するという警告でもありました。

正義を語るだけでなく、それを実行できる力を持つこと。その逆に、力を持った者こそが正義を自覚すべきだという、冷静で現実的なメッセージです。

原文:“Justice without force is powerless; force without justice is tyrannical.”
出典:ブレーズ・パスカル『パンセ』(原題:Pensées)
発表年:1670年(死後出版)
備考:断章形式のため、正確な原文の特定は困難。

不正な法律に抵抗する決心をした男性のイラストと「不正を強いる法は破れ」というメッセージ

「もしその法律が、あなたに他人への不正義の手先となることを求めるものであるなら、私は言う、法律を破れ。」
― ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(作家・思想家)

1840年代のアメリカ。奴隷制度が合法とされ、メキシコとの戦争が進行していた時代に、ソローはこの言葉を発しました。

彼は、人頭税の支払いを拒否したことで投獄されます。その理由は「奴隷制度を認める政府に加担したくないから」

この言葉は、著書『市民的不服従』に記されています。

「ただ法律に従って生きるのではなく、良心に従って生きよ」

ソローのこの思想は、のちにガンジーやキング牧師にも影響を与えました。つまり彼は、「正義とは何か」を問いながら、実際に行動でその信念を示した先駆者だったのです。

原文:“If the law requires you to be the agent of injustice to another, then I say, break the law.”
出典:ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『市民的不服従』(Civil Disobedience)
発表年:1849年(初出時のタイトルは “Resistance to Civil Government”)
備考:国家と個人の良心との対立に関するソローの主張。

口に「沈黙」と貼られた男性と、怒りをあらわにする心の中の彼のイラスト

「抗議すべきときに沈黙することは、罪である。それは人を臆病者にする。」
― エラ・ウィーラー・ウィルコックス(詩人・社会活動家)

19世紀末から20世紀初頭、女性の参政権運動が盛んだったアメリカ。
ウィルコックスは、その最前線にいたわけではありませんが、沈黙に対して警鐘を鳴らし続けました。

当時、多くの女性が「声を上げれば家庭や職を失う」として、黙っていました。
でもその沈黙こそが、差別を延命させていたのです。

彼女の詩や演説には、「人として立ち上がるべきときに、黙って見逃すことは共犯だ」という鋭いメッセージが込められています。

原文:“To sin by silence when we should protest makes cowards out of men.”
出典:エラ・ウィーラー・ウィルコックス、詩『Protest』の冒頭行
発表年:1914年
備考:詩の一節であり、道徳的責任を強く訴える。

巨大な機械が草原を踏み潰し、多くの蝶が自由に飛び回る中、一匹の白い大きな蝶が抵抗を見せるイラスト

「不正に対して抵抗しない者は、事実上その体制に協力している。」
― ジーン・シャープ(政治学者・非暴力闘争理論家)

現代における非暴力抵抗運動の理論家ジーン・シャープは、民主主義と市民の力を信じていました。

彼は、暴力ではなく市民の「拒否権」が独裁に対抗する最も強い武器だと提唱。
実際にその理論は、東欧の民主化運動やアラブの春など、多くの革命に影響を与えました。

この「不正に対して抵抗しない者は、事実上その体制に協力している。」という言葉は、「何もしない」という行為そのものが、権力に“加勢”することになるという警告です。
沈黙も中立もなく、常にどちらかに力を貸しているのだ――彼はそう説きました。

原文:―(出典不詳)
出典:ジーン・シャープ(複数の著作において同趣旨の記述が見られる)
発表年:不明(ただし、1973年の『非暴力行動の政治』(原題:The Politics of Nonviolent Action)などに類似する主張が見られる)
備考:この表現はジーン・シャープの思想を要約したものであり、広く引用されているが、正確な文言としての出典は確認されていない。

家の左に目隠しの正義像のような女性、右に自由に踊る少女が住んでいて、二つの間の地面がひび割れ花が咲いている様子を描いたイラストとアルベール・カミュの名言

「正義と自由は互いに不可欠であり、一方がなければ他方も成立しない。」
― アルベール・カミュ(作家・哲学者)

第二次世界大戦中、カミュはフランスのレジスタンス運動に参加し、地下新聞『コンバ』を通じてナチス占領下の不正義を告発しました。

※フランスのレジスタンス運動…
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって占領されたフランス国内で行われた、市民や知識人、元兵士たちによる抵抗活動の総称です。武器を持って戦うゲリラ的な行動だけでなく、地下新聞の発行、ナチスの協力者の監視、ユダヤ人や反体制派の逃亡支援、鉄道・通信施設への妨害など、多岐にわたる活動が含まれていました。
この運動に関わることは逮捕・拷問・処刑のリスクと常に隣り合わせであり、参加者は命をかけて「自由なフランス」の再建を目指していたのです。

彼は「自由だけでは秩序が崩壊し、正義だけでは抑圧になる」と考えました。
どちらか一方に偏ると、個人の尊厳が失われる。
カミュにとって正義とは、自由とバランスの上に成り立つものでした。

つまり、自由のない正義は恐怖政治になり、正義なき自由は無秩序になる。
現実に戦火と独裁を見たカミュだからこそ語れる、深い警句です。

出典:『反抗的人間』(L’Homme révolté, 1951年)
原文:―(要約)
出典:アルベール・カミュ『反抗的人間』(L’Homme révolté)
発表年:1951年
備考:この一文は、カミュの著作『反抗的人間』における主張全体の要約に近く、完全一致する文は存在しない可能性がありますが、カミュの論旨としては正確です。

まとめ

正義は、遠い理想ではありません。

キング牧師が訴えたように、どこかで不正義が起きているなら、それは私たち全員の問題です。
プラトン、アウグスティヌス、ソロー、カミュ――。
彼らの言葉に共通するのは、「正義とは行動である」というメッセージ。

今の社会においても、沈黙や無関心が不正を助長する場面は少なくありません。
だからこそ、正義の名言を通じて「何が正しいのか」「自分はどう生きるのか」を考えることは、とても大切なのです。

歴史に学び、今を見つめ、未来に備える――。
それは一人ひとりにできる、もっとも確かな「正義」の実践なのかもしれません。

本記事の内容は、一般的な思想・価値観の紹介を目的として編集されています。
個別の事情やお悩みをお持ちの場合は、医療・心理・法律などの専門機関へのご相談もご検討ください。

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この記事を書いた人

▶IT・Web・プロジェクト運営の基礎スキルを活かし、読者にとって分かりやすく信頼性の高い情報提供を心がけています。

◆主な資格

・ITパスポート(2012/9)
・ICTプロフィシエンシー検定協会主催 P検2級(2013/2)

・SEO検定 1級(2024/11/11)
・SEO検定 2級(2024/11/11)
・SEO検定 3級(2024/11/11)
・SEO検定 4級(2024/11/11)

・Google AI Essentials(2024/10/07)
・Google Digital Marketing & E-commerce プロフェッショナル認定証(2024/10/15)
・Google プロジェクト管理プロフェッショナル認定証(2024/10/25)

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