前書き
「また失敗してしまった…」
そんなとき、自分を責めてしまうことはありませんか？
でも、ちょっと待ってください。
歴史に名を刻んだ偉人たちも、決して完璧な成功ばかりではありませんでした。
むしろ彼らは、数えきれないほどの失敗を経験し、そこから学び、未来を切り開いてきたのです。
この記事では、「失敗を生かす名言」をテーマに、偉人たちの黒歴史と、そこから生まれた力強い言葉を8つご紹介します。
今、つまずいているあなたへ――
「失敗してもいい」と、背中を押してくれるメッセージを受け取ってください。
偉人たちの失敗の名言8選
「ホームランを多く打った者は、三振も多い。」
― ベーブ・ルース（プロ野球選手）
1920年代、アメリカの野球界に革命をもたらした男、ベーブ・ルース。彼はシーズン最多本塁打記録を打ち立て、「ホームラン王」として名を馳せました。
しかし、彼は同時にリーグ最多三振数の記録保持者でもありました。実は三振に倒れることを恐れず、フルスイングを貫き続けたからこそ、ホームランという「大成功」が生まれたのです。
当時の野球界では、「三振は恥」とされる風潮がありました。選手たちは確実性を求め、コンパクトな打撃を良しとしていました。そんな中でルースのスタイルは異端でした。
彼がこの言葉を残したのは、自分の「打てなかった日々」を否定せず、それも含めて「結果を出すためのプロセス」だと認めたからです。
「三振が怖いなら、ホームランは打てない」
この言葉は、成功の裏にある“挑戦の回数”を思い起こさせてくれます。
原文：―（出典不詳・要約）
出典：ベーブ・ルースの言葉として広く知られているが、特定の文献や演説ではなく、彼の精神を象徴するフレーズとして伝えられている。
発表年：不明（1920年代以降に言われ始めたと推測される）
備考：この言葉はルースの打者としてのスタイル（多くの本塁打と多くの三振）を象徴するもので、正確には「三振を恐れるな」という意味で引用されることが多い。
「もっと失敗しろ。もっとよく失敗しろ。」
― サミュエル・ベケット（劇作家・ノーベル文学賞受賞者）
サミュエル・ベケットの代表作『ゴドーを待ちながら』が演劇界に衝撃を与えるのは1953年のこと。しかし、それ以前、彼は20年以上にわたって“売れない作家”として苦しみ続けていました。
どれだけ原稿を書いても、出版社からの返事は「NO」。舞台にかけた脚本も、何度も「難解すぎる」と却下されました。そんな孤独な日々のなかで、彼がたどり着いたのがこの言葉です。
「Fail again. Fail better.」＝また失敗しろ。だが、前より“うまく”失敗しろ。
彼にとっての「失敗」とは、単なる結果の話ではなく、「試行の質」そのものだったのです。 この言葉には、失敗を重ねることで、洗練された試行錯誤へと進化せよという、職人的な精神が込められています。
原文：“Ever tried. Ever failed. No matter. Try again. Fail again. Fail better.”
出典：サミュエル・ベケット『Worstward Ho』（1983年）
発表年：1983年
備考：この一節は詩的・断片的な文体で知られる作品『Worstward Ho』の中に登場する。しばしばモチベーションの文脈で引用されるが、原文のトーンはやや冷めた哲学的なもの。
「失敗とは、より賢くやり直すチャンスである。」
― ヘンリー・フォード（実業家・フォード・モーター創業者）
今でこそ“車を大衆に届けた男”として知られるフォードですが、初めての起業は大失敗でした。
1899年に立ち上げた「デトロイト自動車会社」は、生産コストが高すぎて、たった1年で倒産。
普通なら、ここで諦めてもおかしくないところですが、フォードはそこから生産技術や人件費管理の欠点を一つひとつ洗い直し、「より賢くやり直す」ために時間をかけました。
そして1903年、フォード・モーター・カンパニーを設立。T型フォードの大量生産へとつなげていくのです。
彼にとっての「失敗」は、失うことではなく、「知ること」でした。
原文：“Failure is only the opportunity more intelligently to begin again.”
出典：ヘンリー・フォード、サミュエル・クラウザー『My Life and Work』（1922年）
発表年：1922年
備考：この言葉は、失敗を前向きに捉えるフォードの哲学を表しています。
「成功を祝うのはいいが、もっと大事なのは失敗から学ぶことだ。」
― ビル・ゲイツ（マイクロソフト創業者）
ビル・ゲイツは学生時代から“天才”と呼ばれていましたが、マイクロソフト設立以前、彼には壮大な失敗作がありました。
それが「Traf-O-Data」という交通流量を測るための装置。ゲイツとアレンが手がけたこのプロジェクトは、誰からも見向きもされず、商業的には完全な失敗。
しかしこの経験が、のちのWindows開発において「ユーザーのニーズを正確に捉える」という視点を彼に与えたのです。
この言葉は、「成功は結果。学びは資産」という、彼の思考スタイルを表しています。
原文：“It’s fine to celebrate success but it is more important to heed the lessons of failure.”
出典：ビル・ゲイツの公式ブログ “The Road Ahead” やインタビューで繰り返し語られている。
発表年：2000年代初頭（具体的には2006年ごろにも記録あり）
備考：ゲイツの経営哲学を表す代表的なフレーズ。
「大きな成功には失敗が不可欠だ。成功を早めたいなら、失敗の回数を倍にせよ。」
― ブライアン・トレーシー（自己啓発作家）
ブライアン・トレーシーは、もともと高卒で、英語も第二言語という境遇から、トップビジネスマンへと成り上がった人物です。
彼が最初にセールスマンとして飛び込み営業を始めた頃、100件中99件に断られたと言います。
しかし、それを“敗北”とは捉えず、「1件でも売れれば次に繋がる」と考え、失敗の“密度”を上げる戦略に転換。
成功率は変わらなくても、行動量を倍にすれば、成果は倍になる。彼がこの言葉に込めたのは、失敗の数こそが、成功までの距離を短くするという極めて現実的な教訓でした。
原文：―（出典不詳）
出典：正確な初出不明。ブライアン・トレーシーによる講演や著書内で複数回登場。
発表年：1990年代以降（正確な初出は不明）
備考：「成功したいなら失敗を増やせ」という趣旨は、自己啓発の定番テーマの一つ。
「真の試練は、失敗を避けることではなく、それがあなたを萎縮させたり、行動を止めさせたりするかどうかだ。」
― バラク・オバマ（第44代アメリカ大統領）
オバマは、初めて黒人としてアメリカの大統領になった人物ですが、その道のりは人種差別・政治的逆風・資金難との戦いの連続でした。
2000年、連邦下院議員選に出馬し、現職に大敗。選挙資金も底をつき、政治生命が危ぶまれる状況でした。
それでも彼は、敗北の分析を徹底し、組織戦略・メディア戦略を練り直して、2004年には上院議員、そして2008年に大統領へ。
この言葉は、「失敗を“怖れて止まる”ことこそが、最大の障害だ」というオバマの哲学を表しています。
原文：“The real test is not whether you avoid this failure, because you won’t. It’s whether you let it harden or shame you into inaction, or whether you learn from it.”
出典：バラク・オバマの演説（ホワイトハウスの教育イベントなどで発言）
発表年：2011年頃（教育支援をテーマにしたイベント）
備考：オバマはこのテーマを複数回語っており、自己成長とレジリエンスの重要性を説いている。
「ときに人生はレンガで頭を殴るようなことをしてくる。だが信念を失ってはいけない。」
― スティーブ・ジョブズ（Apple創業者）
1985年、ジョブズは、自分が創業したAppleから追放されます。社内政治、経営ミス、人格的な問題——理由は複合的でした。
人生のどん底。彼はこの時期、「全てを失ったことで、本当に大切なことに気づいた」と語ります。
その後、NeXTやPixarを立ち上げ、再びAppleに復帰。iPhoneの開発につなげたのです。
この言葉には、失敗を“終わり”ではなく、自分を研ぎ澄ますプロセスとする、ジョブズ特有の感性が表れています。
原文：“Sometimes life hits you in the head with a brick. Don’t lose faith.”
出典：スタンフォード大学卒業式スピーチ（2005年）
発表年：2005年
備考：スティーブ・ジョブズの有名なスピーチの一節。彼の人生と重なる言葉。
「私は歩みが遅いかもしれない。でも決して後退はしない。」
― エイブラハム・リンカーン（第16代アメリカ大統領）
リンカーンは、「奴隷解放の父」として名を残しますが、その政治人生は選挙での落選の連続でした。
州議会、下院、上院…何度も立候補し、何度も敗れました。商売にも失敗し、恋人を失い、精神的に不安定になった時期もあったと言われています。
それでも彼が政治家であり続けたのは、「歩みは遅くても、決して止まらない」その信念があったからです。
彼の人生における失敗は、「一時的な後退ではなく、遠回りな前進」でした。
原文：―（出典不詳）
出典：エイブラハム・リンカーンの発言として広く流布
発表年：19世紀半ば（正確な記録文献は不明）
備考：実際の記録では確認が難しいが、リンカーンの姿勢を象徴する名言として引用されている。
まとめ
失敗は、避けるべきものではありません。
今回紹介した「失敗を生かす名言」が教えてくれるのは、失敗こそが挑戦の証であり、成長への入り口だということです。
大切なのは、失敗を経験したときに、そこから何を学び、どう生かすか。
偉人たちはみな、悔しさや挫折を乗り越える中で、本当の力を身につけていきました。
あなたも、自分の失敗を責めるのではなく、次のステップへの貴重な糧と考えてください。
きっとその先に、今よりもっと強い自分が待っています。
