前書き
「勉強しなきゃ…」そう思うけれど、なかなかやる気が続かない。
そんなとき、ヒントになるのは、時代を超えて学び続けた偉人たちの名言です。
古代ギリシャから現代まで、科学や哲学、教育に命を燃やした彼らは、
“勉強”の本質を、短くも力強い言葉で教えてくれています。
この記事では、勉強を科学的視点からも解説しながら、偉人たちの名言9選をご紹介。
「どうすれば勉強が身につくのか」「学び続けるとは何か」――
その答えが、きっと見えてきます。
偉人たちの勉強の名言9選

「教育の根は苦いが、その実は甘い。」
― アリストテレス(古代ギリシャの哲学者)
アリストテレスは、古代ギリシャで哲学・倫理・生物学・政治など多岐にわたる知の体系を築いた人物。彼が師事したのは、あのプラトン。そして、弟子にはアレクサンダー大王がいます。
この名言が生まれた背景には、学びの「しんどさ」と「報われる未来」という、誰もが経験するリアルがありました。アリストテレスの教育は、ただの座学ではなく、観察と論理、つまり「体験+思考」に重点を置いていました。
現代でも、「学習は苦しいものだが、習得は脳に報酬として“達成感”を与える」と言われます。これは報酬系とドーパミンの関係に関する研究でも裏付けられています。学びの苦さを越えた先にしか、本当の甘みはない。そんな古代からの真理です。
原文:―(出典不詳・要約)
出典:アリストテレスに帰されるが、一次資料には確認できない。
発表年:不明
備考:この言葉はアリストテレスのものとして広く知られていますが、彼自身の著作には確認されておらず、後世の伝承によるものとされています。

「学びて時に之を習う、亦説(よろこ)ばしからずや。」
― 孔子(儒学の祖)
紀元前500年ごろ、混乱の多かった中国春秋時代。秩序なき時代に、孔子は「礼」と「学び」を通して人間性を磨くことを説きました。
この言葉は、ただ「学ぶ」ことの喜びではなく、“時間をおいて繰り返すこと”の楽しさを語っています。「時に之を習う」とは、反復練習=復習のこと。現代で言えば「分散学習」の有効性を説いているのと同じです。
コーネル大学の研究では、定期的な復習が記憶定着に与える影響が確認されています。つまり孔子は2500年以上前に、脳科学的に正しい学習サイクルを実践していたということ。学びとは、繰り返すことの中にこそ「悦び」が宿るのです。
原文:「學而時習之,不亦說乎?」
出典:『論語』学而篇 第1章
発表年:紀元前5世紀頃
備考:この句は、「学びて時にこれを習う、また説(よろこ)ばしからずや」と読み下され、学びと復習の喜びを説いています。

「唯一の真の知恵は、自分が無知であると知ることだ。」
― ソクラテス(古代ギリシャの哲学者)
ソクラテスは、戦争と政治の混乱が続くアテナイで、「問いかける哲学」を実践しました。この名言は、彼が市民との対話を重ねる中で、自分を賢いと思っていた人々が実は無知であると気づいたことから生まれます。
ソクラテスは「自分の無知を知る」ことを学びの出発点としました。これは、現代でいうメタ認知能力の重要性を示しています。スタンフォード大学の研究でも、メタ認知が高い人ほど、効果的に学びを調整できると示されています。
つまり、「分かっていないことを、分かっている」こと。それが、賢者の第一歩なのです。
原文:―(要約)
出典:『ソクラテスの弁明』第22d節(プラトン著)
発表年:紀元前4世紀頃
備考:プラトンが記録したソクラテスの言葉です。この言葉はソクラテスの思想を象徴するものであり、彼の謙虚な知識観を表しています。

「知識への投資は、常に最高の利子を生む。」
― ベンジャミン・フランクリン(アメリカ建国の父・発明家)
18世紀のアメリカ。フランクリンは貧しい印刷工の子として育ち、独学で学問を深め、やがて政治家・科学者・外交官として歴史に名を刻みました。
この言葉が語られたのは、彼が自らの人生で“知識こそ最大の資本”だと確信したから。若い頃にわずかな収入の中から本を買い、夜な夜な読みふけっていた彼の姿があります。
これは今の時代にも通じます。米国の経済研究で、教育水準と生涯年収の相関が明確に示されています。お金をモノに使うより、「知識を得るため」に投資する。フランクリンは、それが最大の自己成長戦略だと知っていたのです。
原文:“An investment in knowledge always pays the best interest.”
出典:『The Way to Wealth』(1758年)
発表年:1758年
備考:この言葉は教育や知識への投資の重要性を説いたもので、フランクリンの実用的な哲学を反映しています。

「読書は知識の材料を与えるが、それを自分のものにするのは思考である。」
― ジョン・ロック(近代哲学の父)
17世紀のイギリス。宗教革命や王政復古、社会が大きく揺れていた時代。ジョン・ロックは人間の「経験」や「観察」を重視した実証主義の先駆けでした。
彼が残したこの名言の本質は、インプットとアウトプットのバランスです。ただ読むだけでは学びにはならない。読んだことを“自分の頭で再構築する”こと、つまり批判的思考と内省が重要だと説いています。
現代教育でも、「深い学び(Deep Learning)」には、単なる情報吸収よりも“自分で考える時間”が不可欠だとされます。本を読んだら、そのあと必ず自分の言葉でまとめてみる。ロックの学びは、そこまでを求めているのです。
原文:―(出典不詳・要約)
出典:不明
発表年:不明
備考:この言葉は、読書と思考の関係性を強調し、知識の内面化の重要性を説いています。このフレーズは英語圏の名言集には登場するが、ロックの『人間知性論』で確認できません。

「知るだけでは不十分だ。応用しなければならない。意志があるだけでは不十分だ。行動しなければならない。」
― ゲーテ(詩人・劇作家・科学者)
18〜19世紀のドイツ。ゲーテは文学のみならず、自然科学にも深い造詣がありました。この名言は、彼の多方面にわたる知の探求と、実践主義から生まれた言葉です。
彼が重視したのは、「知識のままで終わるな」ということ。これは現代でも、「アクティブラーニング」や「プロジェクト型学習」といった形で推奨されています。
※アクティブラーニング…学習者が授業などの教育活動に能動的に参加することによって、理解や思考を深める学習方法。
※プロジェクト型学習…学習者が実社会に関連する課題やテーマをもとにプロジェクトを立ち上げ、調査・協働・発表を通して学びを深める学習方法。
何かを“知った”と思ったら、それを“人に教える”か“やってみる”。学びは、行動に落とし込んでこそ本物になる――。ゲーテの言葉には、動きながら学べというリアリズムが詰まっています。
原文:―(出典不詳・要約)
出典:出典未特定
発表年:1795年
備考:この言葉は、知識や意志だけでなく、実践と行動の重要性を説いています。ゲーテの原著での確認が困難。英語の表現は後世の意訳の可能性が高い。

「良き知性を持つだけでは足りない。それを使わなければならない。」
― ルネ・デカルト(フランスの哲学者・数学者)
17世紀のヨーロッパ。宗教と科学が交錯する時代に、「我思う、ゆえに我あり」で知られるデカルトがこの名言を残しました。
彼は、数学的な論理を通じて世界を理解しようとしましたが、同時に「使わない知識は意味がない」とも考えていました。どんなにIQが高くても、知性を行動に結びつけなければ意味がない。
これは現代でも、「知能よりも実行機能(executive function)のほうが成功に影響する」と言われます。デカルトはまさに、“知の運用力”こそが人を形づくると、400年前に喝破していたのです。
原文:“It is not enough to have a good mind; the main thing is to use it well.”
出典:『方法序説』(1637年)
発表年:1637年
備考:この言葉は、優れた知性を持つだけでなく、それを適切に活用することの重要性を説いています。

「賢者は愚かな質問から多くを学ぶが、愚者は賢い答えから学ばない。」
― ブルース・リー(武道家・俳優・哲学者)
20世紀のカンフー映画界を一変させたブルース・リー。その華麗なアクションの背後には、深い哲学的思索がありました。彼は東洋武術と西洋思想を融合させた独自の哲学を持ち、「型に囚われない」思考と実践を追求していました。
この名言の核心にあるのは、学びにおける“姿勢”の問題です。たとえ稚拙な質問でも、そこに学ぼうとする意志があれば、賢者は何かを見出します。一方で、いくら優れた答えが目の前にあっても、それを受け取る心がなければ、学びにはならない。
実際、現代教育でも「能動的学習者」と「受動的学習者」では、同じ教材を使っても成果に大きな差が出ることが分かっています。
※能動的学習者(アクティブ・ラーナー)の方が、圧倒的に成果を出す。アクティブラーニング型の授業を受けた学生の方が、従来型(講義を聞くだけ)よりもテスト成績が平均20%以上高かった。
問いを立てる力、そして答えを咀嚼する力――その両方が学びには欠かせない。
また、ブルース・リーは「満ちた盃には何も注げない」とも語っています。常に“空(から)”であること、学び続ける余白を持つこと。それが、真の賢者への第一歩なのです。
原文:“A wise man can learn more from a foolish question than a fool can learn from a wise answer.”
出典:『タオ・オブ・ジークンドー』(1975年)
発表年:1975年(死後出版)
備考:この言葉は、学びの姿勢と謙虚さの重要性を説いています。

「教育が人を導く方向が、その人の将来の人生を決める。」
― プラトン(古代ギリシャの哲学者)
プラトンはアカデメイアという世界最古の学園を作り、哲学を体系化した人物。その教育論は、今日のリベラルアーツ教育の基礎にもなっています。
彼は、「教育とは魂を向けたい方向に向けることだ」と考えていました。つまり、どんな知識を与えるかよりも、“どこに導くか”が大切だという視点です。
現代教育でも、「目的意識を持った学習=自己決定学習」の方が、モチベーションも成績も高まると証明されています。学ぶことは手段ではなく、“人生の方向”そのものになる。そんな深い示唆を、プラトンは残しています。
原文:―(出典不詳・要約)
出典:『国家』第4巻(プラトン著)
発表年:紀元前4世紀頃
備考:この言葉は、教育の初期段階が個人の将来に与える影響の大きさを説いています。
まとめ
勉強とは、知識を詰め込む作業ではなく、自分自身を育て、未来を切り拓くための旅です。
今回ご紹介した「偉人の勉強の名言」は、古代から現代に至るまで、多くの賢者たちが悩みながら辿り着いた学びの本質を教えてくれました。
苦しさの先にある達成感
繰り返しによる記憶の定着
知っただけで満足せず、行動に移すこと
他者への問いかけと自己省察
すべてが、現代の脳科学や教育学の成果とも見事にリンクしています。
ぜひ、今日からあなたの勉強にも、偉人たちの知恵を取り入れてみてください。
学びは一生の財産。あなたの未来は、今の一歩から変わり始めます。